手打ちそばの技法
・水入れ
・鉢まわし
・掃きまわし
・こねまわし
・練り
・くくり
・丸だし
・角だし
・幅だし
・仕上げのし
・たたみ
・切り
*紹介する技法は、体力のない女性や退職後に手打ちそば屋を始めたい方にお勧めです。
基本的な技法は歴史もあり継承すべきですが、何よりも大切なことは健康で続けることです。
身体を酷使するような打ち方にストレスを感じる方はそば粉にもストレスがかかります。
手首をひねるような菊練りの練り作業の蓄積は、腱鞘炎や腕の筋を痛めますし、練りに菊練り
は効率が悪いと感じます。また、蕎麦打ちの時間を短くすることが重要ではなく、毎回高価な
そば粉を打たせてもらうというように、優しく触れ合いましょう。
そば粉はどう打たれればストレスなく美味しい蕎麦になってくれるのか?。
打つ人間が時間に迫られて力ずくで急いで打たれたら、蕎麦も幸せではないでしょう。
そばと毎回恋愛するように独りよがりならないよう気を付けましょう。
*十割そばで、切れないように打つなら挽き立てで打つのが大切です。前日挽いた粉とは別物です。
美味しい蕎麦の実は乾燥が全てです。乾燥しすぎると味が薄くなります。
・・・水分量の管理・・・
四季の気温や湿度で水分量が変わるため、そば粉の量に対しての水分量比率を40%~50%
までの表を作り、夏は少なく冬は多くなるのに対応できるようにしましょう。
冬でも室内の温度が高く、そば粉の保存温度でも変わってきますので、一年の保管方法を一定に
して、水分量を管理しましょう。
*この技法は水を10g~40gのみを残して、一回目で全部そば粉に合わせるので
水分表は必須なのです。
・・・水入れ・・・
そば粉は二八の1300gです。
画像が見にくいと思いますが、広げた粉に渦巻きを描くように水を流した直後です。
適量の30gだけ残して計り、一回で全部流し入れます。
(*趣味で打つ方は水分量が分からないので、40%を一度に入れて、10gづつ足すのが良いでしょう)
渦巻きが均等に描けるのが理想ですが、私は適当に5、6回転で描いています。
・・・鉢まわし・・・・
この鉢まわしの技法が今までにない重要な技法になります。
基本からなら素早く指先で混ぜますが、粉には一切触れません。
鉢の手前を両手で持ち、前後に細かく揺らしながら鉢を回転させてゆきます。
渦巻きの水が粉を吸収しながら蛇がとぐろを巻くように粉と水が合わさって変化してきます。
一気に粘りの生地の固まりになり鉢を揺らしても揺れ動かなくなってきます。
ベストは、生地が動かなくなる手前の状態だと次の掃きまわしがやりやすいと思います。
画像のように生地の表面と周りに粉が残っている感じです。
なぜ鉢まわし作業が重要かというと、粉は常に乾燥状態や水分量や挽いてからの経過時間
保存方法で、好ましい水の吸収や粘りが出るまでの時間が変化してきます。それを毎日毎回
同じ水まわしで急いで生地にしようとするから、蕎麦の切れやすさや生地の硬さが安定しに
くくなるのだと感じます。その日の蕎麦粉が自然に生地になれるように誘導する作業が大切
だと考えます。
*手で混ぜなければ、手の熱が生地に伝わる時間を減らせます。
・・・掃きまわし・・・
掃きまわしとは、手の指をゴミを掃くほうきの先のように柔らかくイメージしながら
生地の表面を優しく早く撫で回します。表面の生地から豆類の大きさの粒が剥がれて
きます。最初は指指先を柔らかく優しく、底に行くに従って指への抵抗が増してきます。
鉢の底は粉が張り付いていますが、指で簡単に剥がれます。
後は基本の水まわしで全部が均等になるように混ぜます。
・・・こねまわし・・・
粒が均等になってきて、混ぜても粒がくっつき合わなくなり、粒が大きくならなくなってきたら 水分が足りないので10gを何回かに分けて混ぜ、生地がくっつきだして大きくなりだせばベスト
の状態だと思います。生地を握って状態を確認しましょう。捏ねの段階で手の熱が浸透して生地が
柔らかくなるので、慎重に少量の水で調整していきましょう。
*掃きまわしからの工程では、指先第一関節だけの作業なので、そばが手に貼り付くのは
指先だけになりますので剥がす量か減り簡単です。
・・・練り、くくり・・・
練りはお好きな練り方で良いと思います。
個人的には菊練りは効率が悪いので、へそ出しの時にやる程度です。
・・・丸だし・・・
基本は手のひらで押しまわして広げますが、私は最初から太いのし棒で広げます。
手の熱を避けるのと、身体が楽だからです。
練など手で捏ねているので熱は伝わります。でしたら全て機械打ちにした方が熱が伝わらない分
美味しいのかもしれません。私は機械打ちも経験してきましたが、まだ機械では水まわしでの生地の
硬さ調整が繊細にはできない為、硬さの誤差がある生地を同じのし方しか出来ない機械よりも
まだ手打ちの方が勝ると感じています。また機械は毎回掃除が大変で、掃除を怠ると不衛生です。
丸だし~仕上げのしまでののし棒はこの太さののし棒を使います。
蕎麦打ちの技術向上の条件として細いのし棒を使いこなすほど技術が高いと言われますから
挑戦するのは大切だと思いますが、自分がのしやすい棒を選択することが美味し蕎麦を打つ
秘訣だと感じます。
私はある時期から手が荒れるようになったので、手袋をしています。
手袋で細いのし棒を使うと指先から少し余った手袋の先がそば生地とのし棒の間に巻き込まれて
しまい生地を破いてしまうのです。それからは太いのし棒を使っていますが、今でも巻き込んでし
まうときはあります。
名人の技術を真似ることは必要ですが、全ての技法の中で疑問を感じたり、なぜこうするのか自分で
説明できないなら、自分が一番ストレスなく納得できる技法を探すことが、もっと美味しい
蕎麦を打てる近道かもしれません。
*YouTubeに動画投稿はいつかやりますが、それまで待てない動画が欲しい方はメールに欲しい理由など知らせて頂ければ、lineで送れるように考えています。
居たらの話なので、まだ何も準備していません。
徐々に更新しますのでお待ちください。